芝草研究
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昆虫寄生性線虫の芝草害虫に対する効果
廿日出 正美
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1987 年 15 巻 2 号 p. 145-150

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抄録

昆虫寄生性線虫が重要な芝草害虫に対してどの程度の感染力をもち, 殺虫力を示すか, さらに実用性があるか否やについて室内試験と小規模なフィールド試験を試みた。
1.スジキリヨトウ幼虫に対する効果
室内試験において3種類の昆虫寄生性線虫のスジキリヨトウ幼虫に対する感受性を調べた。N.c.Mexicanはどの令期においても高い殺虫力を示したが, N.c.Allは若令幼虫には高い殺虫力を示したが, 終令幼虫になるとその効果は劣る傾向を示した。効果の優れたN.c.Mexicanはかなり低濃度 (LIIIが50頭/ペトリー皿) でも感染力は強いことが明らかとなった。感染して死亡した幼虫からは, 処理後12日目には最高値で約20万頭の線虫の増殖が観察された。
また, 小規模のフィールド試験においてN.c.Mexicanの: LIIIが8×104, 16×104頭区で高い殺虫力を示した。したがって, この線虫はスジキリヨトウに対して実用性が期待される。今後の問題として, 短時間に線虫がhostに侵入し, 感染させるための手法が課題になると思われる。
2.コガネムシ類に対する効果
芝草の難防除害虫に相当するコガネムシ類に対する有効な線虫の発見が望まれる。3種の線虫を用いて, ドウガネブイプイ, オオサカスジコガネ, マメコガネ幼虫に対する感染力を調べた。飼料混合法と浸漬法の2方法で感染性を調べたが, コガネムシに対して有望といわれていたN.glaseyiにおいても, それ程期待できる結果は得られなかった。
スジキリヨトウには効果が認められたにもかかわらず, 何故, コガネムシ類には効果がないのか。その疑問については, 腸壁の厚さ, 腸内における線虫の生理的な問題, 共生菌の種類等々, 未知の分野が多く, 今後の研究成果が期待されよう。

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