芝草研究
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芝の施肥とかん水技術
藤井 信一郎
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1986 年 15 巻 supplement2 号 p. 30-46

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抄録

以上の結果から, 生産シバに対でる肥料の施用は次のような考え方で行うのが妥当と考えられる。
1) 肥料の種類は, 緩効性又は硝酸化成抑制型の肥料が適当と考えられる。これはシバの生育期間中の肥効を継続させる必要があり, また.1回の施用眼界も比較的少なくてとりまとめて1回に多量施用できないことなどから, 流亡の少ない肥料が適すると考えるからである。
2) 施肥の間断期間は, 生育期間中に肥切れを起こさないよう肥料の特性を吟味して決めるが, 硝酸化成抑制型の肥料を用いる場合でも1ヶ月に1回は必要とみられる。
3) 施肥量は, 毎月1回施用する場合の施用適量に10a当たりNPK各成分量で3~5kgどであるが, 5kg男連用てると過剰となるので5kgの毎月連続施用は2-3回にとどあるべきである。なお, 過剰施用による生育抑制は地上部より地下部に起こりやすいので注意を要する。
4) 施肥時期については, シバの生育期間のうち4月上旬から11月下旬までの間, 肥料を継続, することが必要である。この中で5月~10月の間の施肥効果が比較的高く, 7月~9月の間はもっとも高い。しかし, 施肥効果は生育程度によって影響され, 4月から生育を始める萌芽シバの場合には5月~6月でも肥効が高く, 逆に, 新植シバや5月下旬に収穫した萌芽では7月でも肥効が低い。
5) 時期別施肥量は (1ケ月1回10a当なりNPK各成分kg) .生育旺盛な時期に5kgとし, それ以外の時期はこれより減肥する。例えば, 前年秋に収穫して4月から生育を始める萌芽シバでは, 4月2~3kg, 5月3~4kg, 6・7月4kg, 8・9月5kg, 10・11月2-3kgが適当である。なお, 生育中途で収穫した場合は収穫後約2ケ月間は過量施用の害が出やすいので3kgとし, それ以降は前述の施肥量とする。

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