芝草研究
Online ISSN : 1884-4022
Print ISSN : 0285-8800
ISSN-L : 0285-8800
Rhizoctonia oryzaeによるベントターフの新病害について
反保 宏行塚本 貴章谷 利一生越 明
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 18 巻 2 号 p. 125-132

詳細
抄録

近年, 一部のゴルフコースにおいて, 梅雨明けから盛夏にかけてベントグリーンに原因不明のパッチが多発するようになった。本研究ではこのパッチより病原菌を分離して試験を行い, 以下の知見をえた。
(1) ベントグラスソッドおよび子苗を用いた接種試験によると, 供試2菌株とも15~30℃で病原性が認められ, 最適温度は25~30℃であった。
(2) 平板培地 (5種類) 上における菌叢の生育はPDA, コーンミール, オートミール培地で良好で, 斉藤氏醤油培地では悪かった。菌核の形成はPDAで良好で, Czapek培地では認められなかった。
(3) PDA上の菌叢発育は10~35℃でみられ, 最適温度は25~30℃で, ブラウンパッチ菌と差異がなかった。しかし, 菌叢は橙色, 菌核は橙色, 不定型で, ブラウンパッチ菌と明瞭に異なった。1細胞当りの核数は多核であった。菌糸融合はR.oryzaeおよびR.zeaeに対してみられた。これらの結果より, 本病の病原菌はRhizoctonia oryzae Ryker et Goochによるものであると結論した。
(4) PDA上での殺菌剤の抗菌性は分離株間に差は認められなかった。ブラウンパッチ菌との比較では数種の殺菌剤で明瞭な差異を認めた。
(5) R.oryzaeによるベントグラスの病害はわが国では本報告が最初である。和名を白葉腐病とし, また, プラウンパッチの葉腐病を褐色葉腐病と改変することを提唱したい。

著者関連情報
© 日本芝草学会
次の記事
feedback
Top