芝草研究
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市販の微生物資材を利用したダラースボット病の生物防除 (2) .資材添加培地上の病原菌の生育
久能 均井上 恵美小林 一成
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1997 年 25 巻 2 号 p. 129-135

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抄録

3種の市販微生物資材 [オーレスG, アクテイプソイラー, SSボーン (以下, それぞれOG, AS, SSと略記) ] またはそれらの濾液を用いて調製した培地におけるダラースポット病菌の生育を検討した。OGを混入した培地またはその濾液で本菌を培養したところ菌糸伸長が著しく抑制されたが, 濾液を熱処理すると抑制活性は消失した。この結果から, OGには熱で失活する抗生物質または他の抑制物質が含まれていると推定された。ASまたはSSを混入した培地またはその濾液で本菌を培養すると, 菌糸伸長が徐々に抑制されることが明らかになった。特に, ASには菌糸に異常形態をひきおこす作用がみられた。これらの2資材の場合は濾液を熱処理すると菌糸伸長の抑制活性は強くなった。したがって, これらの2資材の作用も混入微生物が産生する抗生物質またはそれ以外の抑制物質に依存すると推定されたが, 熱処理するとこれらの物質あるいは他の因子が変性して抑制効果が強くなると考えられた。3資材の濾液で培養した菌糸を対照区の培地に移植すると生長を開始したので, いずれの資材の抑制作用も静菌的と考えられた。

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