抄録
スズメノカタビラに特異的な植物病原細菌Xanthomonas campestris pv.poae (JT-P482) による微生物除草剤を開発し, 1997年「キャンペリコ」名で農薬登録を取得した。本施用法に最も特徴的である「付傷」に関し, 温室内で試験を行った結果について報告する。
(1) 付傷箇所数が多いほど効果は速くあらわれた。葉に対する付傷より茎に対する付傷のほうが速く効果が表れた。グリーン内でより効果をあげるためには, スズメノカタビラの茎や葉がより効率的にモアーの刃で刈られるように直立していることが望まれる。 (2) 菌の噴霧の前または後に付傷を行い, それぞれ付傷と処理の間隔が効果におよぼす影響をみたところ, 付傷後処理までの時間は6時間であっても効果には大きな影響を与えなかった。しかし噴霧処理後の付傷では, 風量の多い場合には2, 3時間で著しい効果の減少が認められた。 (3) 処理後, 連日刈り込みを行ったスズメノカタビラ体内の生菌数の変化を調査した。7日後には1010CFU/gFWと, 植物を枯死させるに十分な菌数にまで増殖したことが判明した。