芝草研究
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木酢液のシバ生育調節作用に関する研究
第2報 圃場試験における木酢液の長期連用処理によるコウライシバ (Zoysia matrella Merr.) の生育促進作用の事例
白川 憲夫深澤 正徳
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1999 年 28 巻 1 号 p. 13-21

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抄録

コウライシバを供試して、圃場で木酢液の長期連用処理試験を行い、その作用性を検討した。
1.1994年2月24日から1997年1月11日に亘り、木酢液を連続36回 (1回/月) 処理したところ、コウライシバ地上部積算生体重は1a当たり木酢液5l処理区>11処理区>0.5l処理区>0.1l処理区≒対照区の順となり、とくに1l、5l処理区での生育促進作用が大きかった。
2.根部の生育への影響については、木酢液12回処理後29日目、24回処理後6日目、36回処理後21日目の3回調査したが、いずれの調査時期でも根長および根部重の増大が認められ、このうち1a当たり木酢液の0.5l処理区がもっとも効果は大きく発現した。
3.木酢液を長期連用処理した場合の芝育成土壌のpHは、木酢液の処理量が1a当たり0.1~5lの範囲ではほとんど変化しないことが判明し、木酢液の植物生育促進作用の機構は、単なる土壌pHの変化によるものでは無いことが明らかとなった。
4.木酢液の長期連用最終回処理後の地上部生育促進期間は、1a当たり木酢液の0.1l処理区で231~262日、0.5l処理区で488~592日、1l処理区で592~649日5l処理区で699日以上であった。また、根部および匍匐茎を含む地上部の生育は、木酢液最終回処理の後13ヵ月後の調査では、いずれの処理区も対照区に比べてすぐれた生育促進作用を示した。
5.以上の結果を総括すると、木酢液の実用場面における使用基準の1つとして、1a当たり0.5~14を504に水で希釈して、コウライシバに毎月1回処理する方法は、コウライシバの地上部および根部にきわめて良い影響を与えると同時に、その効果が長期間持続することが判明した。

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