芝草研究
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芝草を加害するコガネムシ類の研究Vドウガネブイブイ成虫の食餌植物に対する摂食量の検定と幼虫による芝草の被害
吉田 正義
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1975 年 4 巻 1 号 p. 47-54

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抄録

成虫は芝草を摂食しないがその幼虫が芝草の根部を食害するコガネムシ類の芝草地における防除法を明らかにするため, 他方においては静岡県西部の畑作地帯のカンシヨ畑でドウガネが異常発生する原因を明確にする目的をもって, 浜松シーサイドゴルフ場およびドウガネの異常発生地に植栽されている各種の植物の葉で成虫を飼育して, その死亡率, 不摂食虫数および摂食量を測定して, その防除対策を検討した。
(1) 成虫の死亡率, 不摂食虫数から考察すれば, 成虫が好んで摂食し死亡率の少ない餌植物はブドウ, オナムラサキ, イヌタデ, イヌマキ, アカメヤナギ, ネズミモチ, ギンヨウアカシヤの7種で, モリシマアカシヤ, モモ, カンシヨ, ノシバでは飼育できなかった。ナンキンハゼ, クワ, ミカンでは飼育中軟糞や白色の粘液糞を排出して, 成虫の餌植物としては不適当であった。
(2) 摂食量の最も多いのはイヌタデで, 次はブドウ, イヌマキ, ナオムラサキ, ギンヨウアカシヤ, アカメヤナギ, ネズミモチ, ナンキンハゼ, ミカンの順であった。イヌタデの摂食量の多いのは, 供試虫としてイヌタデを摂食していた個体を使用したためではなかろうか。摂食量の平均値で比較すればイヌマキはブドウより大きい数値を示し, 成虫の餌植物として非常に好適なものと推察された。また, 幼虫によるカンシヨの被害地ではイヌマキの分布が特に顕著であった。
(3) 1日の摂食量の変化からみれば, 成虫の餌植物として好適なものは摂食量がほぼ一定して多いか, 飼育日数が進むにつれて増加する傾向がみられた。ナンキンハゼ, ミカンの場合では減少の傾向がみられた。また飼育できなかったモリシマアカシヤ, クワ, モモ, カンシヨでも極めて僅少ではあるが摂食したが, ノシバでは食痕すら認められなかった。
(4) 芝草地における重要な害虫はチピサクラコガネのように成虫幼虫共に芝草で繁殖できるものであった。また芝草地ではドウガネのように成虫は芝草を摂食できないコガネムシ類の被害は極めて軽微で, 被害も成虫の餌植物の分布する場所に限られていた。ゴルフ場のような広大な面積の芝草を容する所では, 成虫の餌植物となるような緑化樹を植栽しないという「生態的防除」の考想を取り入れる必要があろう。このような場所では幼虫防除より成虫防除の方が極めて有効と考えられる。
(5) 成虫がカンシヨ, ラツカセイでは飼育できないドウガネが, カンシヨ, ラツカセイ畑で異常発生する重要な原因として, 成虫の餌植物が増加したことが考察される。したがってこのような場所では幼虫の防除を行なうとともに, 成虫の防除を併せ行なう必要がある。

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