芝草研究
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B-3356の作用性とその適用性について
伊織 新一植竹 哲夫木村 一郎
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1975 年 4 巻 2 号 p. 63-67

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抄録

ベンジルチオールカーバメート系除草剤を開発する過程で種子発生の諸雑草と芝草の間の選択性の巾の広い化合物B-3356すなわちS- (2-クロロペンジル) -N, N'-ジエチルチオールカーバメートを見出した。本化合物は同系のB-3015 (ベンチオカーブ) すなわちS- (4-クロロベンジル) -N, N'-ジエチルチオールカーバメートと同じく雑草の発芽生長を抑制し, 発芽前後の土壌処理剤として有効であるが芝草の茎葉にかかった場合にベンチオカーブの如く葉色の赤化を起すことがない。B-3356の作用性と適用性についておこなった試験の結果を要約すると,
(1) B-3356に対し感受性の高い雑草は, メヒシバ, スズメノカタビラ, スズメノテッポウなどのイネ科ミミナグサおよびツユクサなどである。アオビユ, イヌタデ, ヒメジョオンは中程度, ギシギシ (実生) カラスノエンドウ, ヤハズソウは耐性である。この殺草スペクトラムを拡げるのにCATとの使用時混用 (B-3356: CAT=5: 1) が有効であった。
(2) 化学構造と芝草の薬害の関係をコウライ芝を用いベンジル基の塩素置換について検討した結果, ベンジル基の環上にオルソクロル置換した一連の化合物は芝の葉に散布しても影響がなく, 一方パラクロル置換と無置換の一連の化合物は直射日光を受ける場所で芝の葉に赤色の色素を形成せしめることがわかった。
(3) 散布液量と薬効, 薬害の関係をメヒシバを播種したコウライ芝とベントグラスの造成したポリ容器内で調べた結果, 除草効果は150cc/m2と300cc/m2が最もすぐれ, 600cc/m2がこれに次ぎ75cc/m2は劣った。薬害は散布水量が減るに従って増加した。
(4) 完成したコウライ芝の圃場で薬効, および薬害に関する試験を行なった。B-3356はヒエ, メヒシバおよびオオイヌタデに対し発生前処理の0.6g成分/m2では十分な効果が得られたが, 発生後早期の茎葉兼土壌処理では0.75g成分/m2でもやや不十分であった。CATを5: 1の混合比で混用すると発生後処理でも合計薬量0.5g成分/m2で満足すべき効果を得た。芝草に対する薬害は何れの区でも認められなかった。
(5) 植付直後の芝草に対する薬害試験をコウライ芝とティフトン-328について行なった。植付直後ではティフトン-328に1.25g成分/m2で軽い生育抑制を見たが, 10日後処理では認められなかった。コウライ芝については1.25g成分/m2の植付直後でも安全であった。
以上, B-3356は雑草発芽前後の土壌処理剤として有望であり, 更に少量のCATの混用により適用草種と処理適期幅の拡大が可能である。

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