パンタグラフの舟体は新幹線の主要な空力音源の1つであり,その低騒音化が強く要求されている.ただし,高速域でパンタグラフが良好な集電性能を維持するためには舟体の揚力特性を適正に保つ必要があるため,空力音低減は容易ではない.そこで著者らは,舟体の空力音発生メカニズムを明示することによって低騒音化設計を支援することを目指し,流れ場のCFD解析とHoweの渦音理論に基づく音響解析手法を組合せた手法を用いて,舟体から発生する空力音の遠方場における評価と舟体まわりの二重極音源分布の可視化を行った.また,検証のための風洞実験も実施した.これらの結果,二重極音の評価結果が実験結果と定性的に一致することを示した.また,二重極音源分布の可視化結果から,対象とした舟体では剥離領域の大きさや再付着の有無が二重極音の発生に大きく寄与していることを明らかにした.