可視化情報学会論文集
Online ISSN : 1346-5260
ISSN-L : 1346-5252
単独水制周辺部の浅水流可視化実験と組織的乱流変動場の移流構造に関する解析
門田 章宏鈴木 幸一
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2008 年 28 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

河川の境界に存在する水制構造物は様々な役割を持ち,ヨーロッパ諸国では主に貨物船等の航行に必要な航路の確保に水制が使われている.その他,日本の河川では護岸や水生生物にとっての環境改善の目的でも用いられている.また,日本の主な気象・河川特性として挙げられるのは,降雨量の季節的変動が大きく,流路が短く急峻であることである.近年観察される様々な自然現象は,温暖化による影響と併せて,突発的な豪雨・洪水が多く,水制等の河川構造物周辺の流れは瞬間的に大きなエネルギーを持つ流れが支配的となり,従来研究が行われている洗掘等の物質輸送現象の解明の基本情報となった平均流的な流れとは大きく異なる.以上の様な背景により,本研究では河川構造物周辺の流れの中でも,組織的でかつ瞬間的な流れの局所的な場に及ぼす影響がむしろ重要であるという観点から,河川水制周辺の二次元浅水流の瞬間的に発生する組織的流れの構造を浅水流可視化実験により解明した.また,これらの瞬間流速データを正規直交分解法(POD法)や条件付き時空間相関解析(CST法)を適用することで,水制周辺に発生する特徴的な組織渦構造を抽出し移流過程を明らかにした.

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© 2008 by the Visualization Society of Japan
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