マイクロ流体デバイスで主に用いられるマイクロ混相流は、それぞれの相間の相互作用を利用して様々な機能を実現している。本研究ではより効率的なデバイスの開発や性能評価に必要な定量的計測手法の確立を目指し、異なる相の流動構造を同時かつ別々に計測することができる多波長共焦点マイクロPIVシステムを新たに構築し、マイクロ混相流における両相の定量的同時計測を試みた。 本研究ではT字ジャンクションにおけるマイクロ液滴生成過程を計測対象とし、油に分散する自作蛍光粒子を開発するなどして、混ざり合わない油相と水相の同時計測に成功した。粘性力と界面張力の比であるキャピラリ数に依存した生成過程の違いを時系列でPIV計測した結果、過去の論文が示した定性的パラメータスタディや生成過程の巨視的観察に基づく考察に対し、両相の流動構造の過渡変化という視点から新たな考察を得ることができ、マイクロ混相流の解明に本手法が有効な手段となりうることを示した。