2017 年 37 巻 12 号 p. 64-71
本研究は,多段型相変化蓄熱式熱交換器の開発へ向けた前段階として,蓄熱媒体にラウリン酸を用いた単段型相変化蓄熱式熱交換器の基本的な伝熱特性を実験的に検証したものである.ここでは,伝熱挙動のパラメトリックな考察と同時に,蓄熱材の凝固・融解挙動の可視化を実施した.すなわち,多段型相変化蓄熱式熱交換器の熱輸送機構を解明するための一例として単段時における凝固・融解プロセスの可視化しながら考察を進めた.
その結果,以下の知見を得た.
(1) 融解プロセスでは伝熱管(銅管)周りから融解が開始され,銅管上部,側部,下部の順に融解が進展する.一方,凝固プロセスでは伝熱管(銅管)周りから凝固が開始され,左右対称に凝固が進展する.
(2) 温度効率は,加熱・冷却流量が小さいほど大きい.蓄熱・放熱速度は,加熱・冷却流量が大きいほど大きい.