1988 年 12 巻 34 号 p. 11-18
これまで音声通信会議システムとしては、一般の電話を用い複数地点間で電話会議を行うシステムが開発され実用に供されている(1)。 このような電話会議システムは会議通信の基本条件である音声会話を行うことはできるが、機能及び品質面では必ずしも十分とは言い難い。具体的には、話者の識別や臨場感の同上を図るため、マイクとスピーカを用いた高品質な音声通信が望まれる。更に、音声会議を補完する静止画及び文書.文字情報等を併用した音声通信会議が 望まれる。一方では、64kb/sディジタル回線によるISDNサービス(INSネット64)が本年4月か らサービス開始されており、このような高品質音声を中心としたマルチメディア通信会議サービスに対するニーズも顕在化しつつある。このような状況を背景に、本文では、筆者らがこれまで研究を進めてきた高品質音声通信会議システムについて、システム構成の背景となる機能条件を考察すると共に、本システムの構成要素技術に関する検討結果を述べる。更に、ここで開発した高品質音声通信会議システムのサービス適用例を示す。