1993 年 17 巻 15 号 p. 1-8
VTR特有なノイズにキャリア近傍ノイズがある。ディジタルVTRを最適設計するためには、これまで十分に解析されていないこのノイズと誤り傘との関係を明らかにする必要がある。今回、この近傍ノイズを考慮した再生信号の数式モデルを導出し、これを用いてキャリア近傍ノイズによる誤り率の劣化を推定した。まず、信号とノイズの状態を重畳性ノイズ、振幅変調性ノイズ、位相変調性ノイズに分類して数式的に表現し、そのノイズ状態評価関数を定義した。次に、この評価関数を用い再生信号を分析して、トータルノイズのうち、キャリア近傍ノイズは振幅変調性ノイズであり、その他の領域のノイズは重畳性ノイズであることを明らかにした。そして、この分析をもとに再生信号の数式モデルを導出した。さらに、記録再生系を線形と仮定し、このノイズモデルを用いてディジタル信号の誤り率を計算し、キャリア近傍ノイズによる誤り率の劣化の程度を示すことができた。