垂直磁気記録において高い線記録密度を実現するためには、単磁極ヘッドの主磁極膜を薄くする必要がある。薄い主磁極膜を用いた場合には、書き込み能力が低下するおそれがあり、高飽和磁束密度を有するFe系の材料が望まれる。スパッタ雰囲気中に窒素ガスを導入してFe-Si-N膜を作成し,極めて薄い膜厚領域(10〜100nm)を中心に成膜条件と磁気特性との関係について検討を行ったところ,従来検討の多い膜厚(〜300nm)とは最適な成膜条件が異なることがわかった。また,漏れ磁場の少ないrfスパッタを用い,比較的弱い磁界を基板に平行に印加して異方性の方向を制御した。この条件で成膜した結果,膜厚50nmで3000という高い透磁率が得られ,高分解能単磁極ヘッドへの応用が期待できることを確認した。