最近提案された高Ar圧力カスパッタ堆積法による新しい低温作製法を用いて,Co-Cr垂直異方性膜の高抗磁力化を検討した。下地層膜厚とCo-Cr層膜厚の組み合わせにより,最大1370Oeの垂直抗磁力を得た。Co-Cr層は垂直磁気異方性の小さい薄い成長初期層を持つが,Ti下地層上にヘテロエピタシシャル成長し,高いc軸垂直配向性を示す。膜構造は従来法による膜とは異なり,血漿粒子内部でのCr偏析は小さく,空隙の多い粒子結界を持つ微細柱状構造である。この粒界構造により粒子間の磁気的結合が弱められ,高抗磁力膜となっていると推測される。さらに,粒子結界にはCrの酸化物の存在も予想された。この低温スパッタ堆積法は高密度垂直磁気記録媒体の有力な作製法の一つとなる可能性がある