Cuのドーピングによって、p形特性を示すCdS膜を作ることができた。Cu薄膜上に200℃でCdSを蒸着すると、CuはCdS膜に容易に拡散した。膜は、ゼーベック係数、ホール係数などからp形であると判断された。膜のX線回折、透過特性からは、Cu_2Sのようなp形物質を検出できなかった。また、ホトルミネッセンスは、浅いアクセプタレベルが生じている可能性を示した。CdS(Cu)/CdS接合ダイオードは、良い整流性を示したが、再結合中心が支配的な特性であった。77Kで順方向に大電流を通じると、弱い緑青色の発光があった。光起電池としては6〜7%の変換効率を示した。CdS(Cu)/CdSe光起電池の応答スペクトルは、CdSとCdSeの吸収端の間であった。いずれの素子の特性にもp形Cu_2Sの影響は認められなかった。