1995 年 19 巻 33 号 p. 1-6
両眼視における人間の立体知覚には両眼対応のとれない領域も少なからぬ影響を及ぼしている.本論文においては両眼非対応領域の立体知覚への影響のひとつと考えられる対象物の体積感について実験的に検証した.そして得られた特性をコンピュータビジョンシステム上に実現するための方針を提案する.実験では対応, 非対応, または手がかりのない領域の一次元的な変化が体積感にどのような影響を与えるかについて検証した.そしてその結果から, 非対応領域の示唆する情報を反映させる処理の流れと条件分けとを示し, 併せてそのためにシステム上に実現する知覚像のデータモデルが満たすべき要件も示した.