1995 年 19 巻 39 号 p. 31-38
ハードディスク装置において、磁気記録密度向上のために、トラック幅と同時に、磁気ヘッドと磁気ディスクの間のスペーシングを減少させてきた。その究極のかたちとして、磁気ヘッドと磁気ディスクが定常的に接触するコンタクトヘッドが検討されている。コンタクトへッドシステムにおいて存在する磁気ヘッドと磁気ディスクと間の摩擦力は、狭トラック化とも相まって、磁気ヘッドの位置決めをより困難なものにすると考えられる。本報告では、摩擦力の非線形性に起因する、位置決め時の残留誤差に着目し、それを制御入力に摩擦力を相殺する数値を加算することと、ディザ信号を適用することによって補償することを数値シミュレーションによって検討した。その結果、残留誤差を大幅に減少させることができ、ディザ信号の設計に関して一定の指針が得られた。