テレビジョン学会技術報告
Online ISSN : 2433-0914
Print ISSN : 0386-4227
MOS単板カラー撮像素子
高村 亨中谷 博邦寺川 澄雄室園 泉小林 義知田中 大通宮川 八州美山田 隆博
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1978 年 2 巻 10 号 p. 1-7

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抄録

最近CCDを中心に固体撮像素子の開発が活発に進められているが, モザイク状のフィルタと組み合せる単板カラー用の撮像素子には, 特に色分離, ブルー感度, ブルーミングなどの点でMOS型にも多くの優位性がみられる。今回報告の素子はMOS型で絵素寸法は36×24μm^2,水平254列, 垂直244行に配列されている。信号の読み出しは各水平走査に対応した1行(以後1Hとも言う)ごとの光情報を水平帰線期間内に直接蓄積部に転送する1H転送方式(M.T.S)を採用している。またその転送には『呼び水転送』という新しい方法を用いてフォトダイオードに加わる充電電圧が電源電圧より高い状態で使用できダイナミックレンジは従来の約3倍に改善された。また, この転送方法では転送効率が信号量に依存しないため画像が暗い時でも垂直方向の絵素の分離を良好に保つことができた。さらに本素子では水平帰線期間内に2度の転送を行うダブル転送方法を用いるので垂直絵信号の分離は良好で, 光擬似信号, 固定ノイズ, ブルーミングなどの特性も大幅に改善された。また走査回路には水平, 垂直とも低電力で高速な回路を開発し素子及び素子周辺の電力消費を少なくした。また単板カラーにするためのフィルタ特性, アンプ特性などの検討結果やカメラの性能についても述べる。

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© 1978 一般社団法人映像情報メディア学会
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