主観的輪郭は物理的に仔在しない線や図形が輝度変化を伴い知覚される現象である。大脳皮質V1野やV2野において主観的輪郭に反応する細胞が発見されており、この主観的輪郭は人間の視覚機構の初期段階で形成されていると考えられている。従来の主観的輪郭形成モデルは、大脳皮質V1,V2野での方位選択性に基づくものであった。本報告ではV1野4C_β層の同心円型の受容野の応答に着目し、主観的輪郭線が発生する場所と方向を決定するとともに、主観的輪郭線に対する輝度変化を実現する方法を提案する。本手法では、主観的輪郭の生成に加え、従来説明が困難であったカニッツァの三角形の輝度変化なども統一的に説明できる。