磁気ヘッドスライダーの浮上変動の要因には多くのものが考えられる。我々はこれらのなかで, 1.媒体の(スライダーの長さに比べ)比較的長い周期の凹凸, あるいは振動, 2.ヘッドポジショナーからヘッドに加わる振動の二つについて注目し, これらの外乱に対するスライダーの浮上動特性を測定する装置を開発した。この装置においては, 溶融石英ガラスディスクを用いた光学干渉法(可視光)に基づく浮上変動測定により, リアルタイムで1nmの分解能を持つ浮上変動測定系が実現できた。この測定系を用いて, 上記外乱に対する浮上変動の周波数特性を測定できた。スライダーの浮上変動の要因を明らかにする目的で, 空気軸受系の剛性を含めたヘッド組立体の有限要素法解析を行った。この解析により, 上記外乱に対する浮上変動の定量的見積りが可能となり, 実験結果とも良く一致した。また, この解析により, 空気膜共振点以下の周波数において, 支持ばね系の共振に起因する浮上変動ピークが多数生じていることが明らかになった。