2016 年 48 巻 1 号 p. 329-336
本論は,コラージュとフィンガーペインティングを主な活動内容とする造形的イメージワークが,子ども理解を促す機能を有する可能性を示唆し,本ワークを保育者に対するリカレント教育として実施する意義と課題について論じることを目的としている。コラージュとフィンガーペインティングは,共に芸術表現として発生し,芸術療法としても応用されている特徴を持つ造形表現の技法であるが,教育現場においても自他理解を深化させるなどの機能と効果が確認されている。そこでこれらの技法を組み合わせ,個人と集団で連続的に実施する造形的イメージワークとして構成した。参加者は,制作過程で生じる心的変容の客観化によって感情状態に対する気付きを得ていることが明らかになっているが,今後は,それらの感情経験が子ども理解を促す過程を明確にし,造形的イメージワークの有用性を提示することが課題である。