近年,鑑賞教育の必要性の高まりにより,学校と美術館の連携事業が注目されている。本研究では,鑑賞の導入に最適なものとして,遊びながら能動的に鑑賞をする姿勢を引き出すアートカードの使用を提案する。現在,アートカードを制作した美術館は増えているが,学校現場で多く使用されているとは言い難い。そこで本論では,まずアートカードの実態を探るため,日本全国のアートカードの調査から,制作年や特徴を比較し,教育的意義を5つにまとめた。その結果,初めのアートカードは手作りであったが,近年は補助ツールが豊富になり,その使用法にも展開が見られることが分かった。更に,鑑賞支援教材として,更なる可能性を確認するため,新たな遊び方の開発を行った。以上の考察に基づきアートカードは,その効果から,子どもだけではなく大人にも鑑賞の導入として使用できる可能性を示唆する。