美術教育学研究
Online ISSN : 2189-3586
Print ISSN : 2433-2038
ISSN-L : 2433-2038
材料によって広がる造形遊びの展開
―新たな教材化の視点を求めて―
蝦名 敦子
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 49 巻 1 号 p. 73-80

詳細
抄録

本考察は2015~16年に実施した一連の造形遊びの実践結果に基づく。独自に考案した造形遊びの材料―古紙を丸めて棒状にし,両端を折ってリング状にして繋いでいく―が,広い年代に受容された。材料に接合方法を仕組ませ,最も基本的な形である三角形や三角錘を一つのユニットとして作り,そこから展開していく活動である。本稿では本材料の特質を抽出し,新たに教材化するための視点を求めた。造形遊びの材料には児童の試行錯誤に耐えられる強度が必要である。本材料の機能的特質としては次の4点が挙げられる。1.小学1年生から年代を問わず扱える,2.接合に工夫の余地があり,その自由度が多様な造形を可能にする,3.大きな造形に展開する,4.幾何学的造形ができる。今後は,①「動き」や「光」を取り入れた造形活動,②先端技術や現代アート・建築物,生活の中の身近なデザインなどと関連づけた鑑賞活動のあり方,が検討される。

著者関連情報
© 2017 大学美術教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top