美術教育学研究
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1960~70年代におけるエリオット・W・アイスナーの教育評価論の展開に関する一考察
佐藤 絵里子
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2018 年 50 巻 1 号 p. 185-192

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抄録

本研究の目的は,1960~70年代のアイスナーの研究に注目し,その間にどのような経過を辿りつつ,芸術教育に適合した教育評価論が形成されたのかを明らかにすることである。その際,特に「表現目標」と「指導目標」,「教育批評」と「教育的鑑識眼」等の重要概念やその形成に影響を及ぼした思想的背景を調査した。16の論文に対する5つの観点による分析の結果,彼の教育評価論がデューイ理論の多大な影響を受けていることや,科学的教育への批判に基づいて新たな評価論のパラダイムが形成されたことが明らかとなった。教育の結果説明責任に対する要請の高まりが顕著となりつつある現在,これらの概念の意義を再考することを通して,個人の感性や現場の特殊性を生かしつつ,それを一般性にまで高めるボトム・アップの理論形成を行うことや,政策的決定や文化形成へ主体的に参加することを目指していくことが重要である。

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© 2018 大学美術教育学会
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