美術教育学研究
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図画工作・美術における子どもの行為による生成の局面とコードの概念
―子どもの意志の生成を考えていくためのコードの概念の再考―
清家 颯
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キーワード: , 他者, 行為, 生成, コード, 意志
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2018 年 50 巻 1 号 p. 217-224

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抄録

美術教育に関する研究では,子どもがものをつくる姿を,意味を生成し,新たな〈私〉と出会う姿として,また,身体性により世界へ働きかける姿として様々に捉えてきた。このように,子どもが,他者やことば,置かれた状況などからあらゆる生成を準備する姿は,一方で,他者や環境により創出される固有の時空に取り巻かれて生きる姿ともいえる。これらから,この生きられた時空で,子どもが〈私〉を見失うことなく,生きる根拠をつくりあげる姿には,子どもに絶えず生成される創造的な意志の問題が関わっていると考えることができた。そこで,本論では,図画工作・美術の時空における“コード”を捉え,先行研究や文献の考察から,子どもの行為による生成局面とコードの概念を再考した。そして,これらの考察の結果,生成の可能性をもつ機関としてのコードと,常に〈私〉を生きるための意志生成の可能性が明らかとなった。

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© 2018 大学美術教育学会
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