美術教育学研究
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『北海タイムス』にみる自由画教育運動(1)
―大正10年における北海タイムス社の取り組み―
根山 梓
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2018 年 50 巻 1 号 p. 265-272

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抄録

本論文は,現在の北海道新聞社の前身である北海タイムス社が発行した『北海タイムス』に掲載される記事に基づき,大正10年(1921)における同社による自由画教育に関する取り組みを明らかにするものである。北海タイムス社で美術部員であった澤枝重雄は,大正10年のはじめ頃に紙上で「自由画私見」を発表し,7月から紙上で児童自由画の講評を行うことをはじめ,11月に同社がはじめて主催した児童自由画展覧会においては,札幌の小学校教員とともに講演を行い,展示作品の講評を行うなど,中心的な役割を担った。大正10年に紙上に掲載される図画教育に関する一連の記事からは,当時,澤枝が図画教育に対する小学校教員の意識に働きかけることを重視し,札幌の小学校教員との関わりのなかで,指導者としての立場で発言していたこと,また,当時,札幌の小学校教育現場において,自由画教育に対する関心が高まっていたことが確認される。

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© 2018 大学美術教育学会
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