本研究は,大学のドローイング授業で継続的に実施された省察の効果を検討することを目的とした。研究の第1に,授業に継続的に出席していた学生の事例を取り上げ,各学生と教師との対話内容を質的に分析した。研究の第2に,この授業を受講した学生の表現に対する態度や動機づけの変容を,計2回の質問紙調査により明らかにした。研究の第3に,制作されたドローイングを初期,中期,後期に分け,表現主題の自覚と技能を他者が評定し,その変化を検討した。研究の第4に,授業前後における,学生の他者作品鑑賞時の視線の動きを測定した。研究の第5に,学生が自分と他者のドローイングについて記述した授業感想文をテキストマイニングすることにより,表現方法や芸術表現の捉え方等の芸術創作プロセスに対する学生のイメージや態度の変化を検討した。以上から,本授業の学生の学びのプロセスの共通性を明らかにした。