美術教育学研究
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絵画における天然染料の活用に関する研究(1)
―絹の天然染色を起点にして―
筧 有子
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キーワード: 絵画, 描画材, 天然染料, 浸透
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2019 年 51 巻 1 号 p. 121-128

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抄録

本論は,絵画技法と染色技法の共通項として,日本画の模写での一技法である絵絹に天然染色を施す「矢車染め」に着目し,それを応用することで,絵画技法として制作に生かすことを目的としている。まず天然染料をめぐる情報を整理し,この技法を使用した制作実践を通して絵画における応用の可能性を探った。その結果,支持体を絹とした時に,天然染色で色材を浸透させて下地及び描画を行うことは,技術的に可能であると結論付けることができた。この技法は透明度が高く,表面テクスチャーを生かせること,顔料との併用によってマチエールの組み合わせが可能であることがわかった。この浸透型技法のにじみについては,先媒染を行って乾燥までに一気に描き上げるなどの一定の条件が必要である。研究の過程では,染織と絵画の領域による「防染」と「描く」という制作概念の相違について考えるに至った。

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© 2019 大学美術教育学会
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