2019 年 51 巻 1 号 p. 129-136
本研究の目的は,支援者の態度が子どもの造形活動に与える影響を明らかにすることである。造形活動の現場で子どもたちを夢中にさせる支援者(保育士と教育者などの大人)が存在する。しかしそんな支援者のことを「ベテラン」と呼び,別格視し,その理由も深く考えずあきらめてしまう支援者がいることは大変残念なことだ。支援者の態度が子どもの造形活動に与える影響が明らかになれば,支援者がベテランか否かを問わず,誰もが望ましい支援を実践する契機になると考えた。そこで本稿では,幼児から大学生までの幅広い4つの造形活動を取りあげ,動画記録から書き起こした発話記録と授業後に取った感想文から事例の分析・考察を行なった。その結果,支援者の態度が子どもの造形活動に影響を与えることが確認できた。さらに活動の目的を踏まえた考察が今後の課題である。