本論文は,高岡市立博労小学校に所蔵される昭和40年代から50年代に制作された約4,100点の図画作品を手掛かりに,一地方の学校における図画教育実践の検証を試みたものである。はじめに,昭和中期から後期にかけての図画教育の状況をふまえ,同校の学校関係資料等を参考に図画教育の指導体制や使用教科書,教育活動等に関する調査を行った。それをふまえて,昭和40年代から50年代にかけて制作された作品内容や表現方法を分析し,当時の図画教育実践について考察した。調査の結果,同校所蔵作品には風景画や人物画,静物画などが含まれており,木版画が流行したことや未来都市や物語絵などの新たなテーマが出現し,図画題材の多様化を確認することができた。また,当時,同校では卒業作品を授業や職員研修で活用しており,図画教育の教材として重要な役割を果たしていたことがわかった。