美術教育学研究
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中学校における抽象絵画の指導についての一考察
―類型化の試み―
山竹 弘己
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2019 年 51 巻 1 号 p. 337-344

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抄録

本研究の目的は,抽象絵画の教育効果を検証し,授業への活用を促進することにある。抽象絵画の実践はこれまで難解なイメージから中学校現場では敬遠されることが多かった。そこで,中学校現場で指導の指標となることを期待した。本稿では抽象絵画を抽象形の形成方法によって3つに類型化し,形成方法別に学習支援することで,抽象絵画への理解を深めたかを検証している。また,主題と抽象形・色・構図を結びつけて視覚化したり,感情移入したりする様子を考察することで,「見立て」や「置換」がそれらへの意味づけ,価値づけにどのように関与しているかを明らかにし,「見立て」や「置換」の有効性も検証した。考察では,生徒感想から抽象形の形成方法による抽象絵画の類型化と「見立て」と「置換」の理解,さらに形成方法別の支援が生徒の抽象絵画の理解に深く寄与していることを明らかにしている。

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© 2019 大学美術教育学会
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