2019 年 51 巻 1 号 p. 41-48
2018年7月にチェコ共和国ピルゼンの西ボヘミア大学Ladislav Sutnarデザイン美術学部において,夏期講習会「ArtCamp」が行われた。筆者は同講習会に招聘され,7月23日から7月27日の期間に講座「Bunjin-ga as a conceptual art practice」を開講した。この講座では,18世紀および19世紀の日本美術の流派である文人画と20世紀に登場したコンセプチュアル・アートをモティーフに,講義を含む様々なワークショップを実施した。文人画の特徴である「批判主義」,「アマチュアリズム」を踏まえ,またコンセプチュアル・アートのアイディアやコンセプトの抽出との関連性を探ることにより,これらを受講生自身の制作に繋ぐことを目標としている。本稿では,この講座の意義について述べるとともに,準備過程および実践についての記録を示し,各ワークショップの実施結果について考察する。