美術教育学研究
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生活の場との関係をつくり変える造形活動を媒介とした協働性と共感性の形成に関する研究
大平 修也松本 健義
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2019 年 51 巻 1 号 p. 89-96

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抄録

本研究では,生活の場との関係をつくり変える造形活動を通して子どもの協働性が変化していく過程を明らかにし,子どもの見方,感じ方,考え方,ふるまい方の共感的形成過程を示すことを目的とする。学級が年間を通じて日常的に関わる校内の場所「私たちの水辺」で,活動を共にする3名が水辺の木陰に“くつろぎの居場所”を協働形成する活動を契機に他のグループへ活動が拡張し「私たちの水辺」が更新される事例を相互行為分析した。生活の場との関係をつくり変える造形活動を媒介とした協働性と共感性の形成過程について,正統的周辺参加,身体の現象学,癒合的社会性の知見から明らかにした。居場所をつくり出す活動の協働性の変化の過程では主体的に協働するアイデンティティの形成と個々人の社会的な共感性の形成が明らかとなった。共感性は子どもの生活の場への浸透を通して学級全体の共感的相互関係を形成することを示した。

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© 2019 大学美術教育学会
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