美術教育学研究
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児童・教師・保護者による絵の見方(評価)に関する比較研究II
教師の主導性と子どもの自由度に着目して
秋山 道広寺元 幸仁初田 隆
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2019 年 51 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

本研究では,児童・教師・保護者間での児童絵画に対する見方(評価)を比較検討することによって,今日の絵画教育の問題点や課題の鮮明化を試みた。まず,児童画作品を教師対象の予備調査によって,「指導過剰」「テーマのみの提示」「主たる技術のみの提示」「子どもの自由度の保証」の4つに類型化し,その妥当性を確認した。類型毎に特徴的な作品を選び調査を行ったところ,教師の主導的な指導による完成度の高い作品が,教師と保護者に支持されていることが分かった。とりわけ指導経験が浅く,指導に自信がない教師にその傾向が強く,子どもの支持する絵との開きが見られた。子どもは「完成度」に価値を認めておらず,「作品のイメージ」や,「製作の自由度」に共感を示している。「完成度」の高さを目指すのではなく,技法体験や子どもの自由度が保証された題材に,今後の授業改善への視座を得ることができた。

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© 2019 大学美術教育学会
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