2020 年 52 巻 1 号 p. 145-152
自分の中にある子ども心に意識を向けることが,実際の幼児理解にもつながるのではないかと考え,「かいてみよう子ども心」という描画活動に取り組んだ。まず学生は,自分の子ども心に触れるような描画活動をする。その後,スライドで見る実際の子どもの絵にある子ども心に触れる。その上で,複数のこども心を意識しながら,今の大人の自分として絵を描くという流れの活動だ。最終的に約9割の学生が子どもに戻れて絵が描けたと回答し,約9割の学生が子どもに戻って絵を描くことは保育の役に立つと思うと回答した。その理由として,この活動を通して子どもの気持ちが少し分かり,言葉がけなどしやすくなった,子どもたちと同じ目線で活動を楽しめ,楽しさを共有できそう,などが示された。よって,子ども心に意識を向けることは保育の役に立つという認識が得られた。今後の課題としては,技法や素材が子ども心に与える影響について考えることである。