本研究は,造形ワークショップの参加者によって構築される「重層的な関係」の構造原理を分析し,それへの参画の意味を明らかにすることで,子育て支援の一手段としての造形ワークショップの妥当性を検討する一連の実践研究の第2報である。第1報においては,川崎市市民ミュージアムでの実践を対象にして「重層的な関係」を構築する造形ワークショップの主体間の相互関係のあり様を明らかにした。続く本論文においては,そごう美術館での実践を対象にして,それら主体間の相互関係を促すファシリテーションの具体と実践原理を明らかにしている。すなわち,造形ワークショップの実践中に主体間の相互関係について語ったり影響を与えたりしているファシリテータの発話の機能や意味をコーディングすることを通して,その実践原理を帰納的に析出している。さらに,その実践原理を造形ワークショップの実践プロセスに沿ったモデルを提示している。