2020 年 52 巻 1 号 p. 9-16
本稿では,2018年3月にチェコ共和国プラハの公立ドゥホヴァー小学校において,カレル大学教育学部の教員と実施した共同授業について,Practice-Based Researchの一つの方法論であるa/r/tographyの視点から分析,考察を行う。制作実践から空間と時間における自己の境界,境界の内側外側の経験等の「居場所の造形」の特徴を整理し,授業研究を通して教育に結びつけるための要素や構造を検証した。その結果,異なる環境や他者と出会う「居心地の悪さ」から,自己の「居場所」が意識化される構造,メタファーと触覚の活用,言葉を開示しない展開等が授業の重要な要素や構造として明らかになった。