本稿では,デューイの遊戯論を基に,子どもの興味の質的向上を促す鑑賞学習論を提案する。最初に,文献レビューを通して,子どもの興味に関わる学習指導の現状と課題を明確化する。次に,デューイの教育論から育成すべき興味を検討する。デューイの興味論においては,興味とは,単なる外的刺激を受けたとき生まれる一時的快感ではなく,学習活動とともに生じる自己発達が反映されたものである。フェルドマンの4段階批評鑑賞メソッドを活用しながら,鑑賞学習における興味の発展のプロセスを3段階で示した新しい鑑賞学習論とともに,スタンフォード大学のケッタリング・プロジェクトで示されたカリキュラム構造をベースに,遊戯論を取り入れた学習構造の特徴を示す。本稿で提案する鑑賞学習論は,単なる一時的な衝動から継続的で知的な興味の形成を促すことを主眼とするものである。