美術教育学研究
Online ISSN : 2189-3586
Print ISSN : 2433-2038
ISSN-L : 2433-2038
ろう芸術におけるVisual Vernacularに関する研究動向と展望
劉 錡洋
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 55 巻 1 号 p. 337-344

詳細
抄録

ろう者(手話を用いる言語的少数者)が生み出したろう芸術(Deaf Art)の一分野として,Visual Vernacular(VV)といわれる,身体の動きや表情,象徴的なサインを用いてストーリーを映画のように伝える表現技法がある。英米で発展したVVについて,本稿では未邦訳の論文をレビューすることで,研究動向と今後の展望を示すことを目的とした。2012年から2022年までに公表された国内外の文献を調査した結果,7稿の論文が存在した。これらをレビューし,①VVとは何か,②VVが生まれた背景と経緯,③VVの著名なパフォーマー,④VVの特性,⑤パントマイムとの違い,⑥VVのタイプといった6つの視点でVVの定義や経緯,特徴や主要な人物等を整理した。VVを導入する教育的意義として,ろう文化やろう芸術の理解促進,VV創作過程における身体表現への認識の深化が挙げられ,今後の展望としてろう者と聴者の交流活動にVVを導入する可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2023 大学美術教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top