美術教育学研究
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描く行為の中の省察と現象学的記述に関する研究
―造形行為を通した現職派遣教師の学び―
金子 瞳大平 修也松本 健義
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2023 年 55 巻 1 号 p. 89-96

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抄録

本研究は,現職派遣教師としての第1筆者が自身の描く造形行為の過程で経験した自己の変容を捉えて省察すると共に,その省察をもたらす描く造形行為の学びの作用を明らかにすることを目的とした。そのため,第1筆者が2019年4月に受講した第3筆者の題材「フリードローイング」を研究事例とした。研究事例では,豊富な量の絵具や,受講者が過去に使用したことのない道具が用意され,受講者が思い思いに描くと共に描いていく色や形に没入できる活動環境が設定された。研究事例の分析は,鮮明に思い出された活動時の気付きを第1筆者が記述する画像記録の振り返り,及び画像記録から抽出した行為や発話の記述により行った。研究事例の分析により,描き方の変化として実践される学びや,過去に使ったことのない道具との出合いを契機に見方や感じ方が変容する学びが経験される,描く造形行為の作用を明らかにした。

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© 2023 大学美術教育学会
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