2026 年 58 巻 1 号 p. 113-120
本研究は,2005年と2021年に実施した全国調査の自由記述回答を分析し,高等学校教員によるアートライティング教育に対する見解の傾向を明らかにするものである。自由記述は「賛同意欲」「反対疑問」「実施困難」「要望その他」の四類型に整理でき,16年間で大きな変動は見られなかったが,時間的制約を理由とする「実施困難」の割合は減少した。一方,賛同や批判の記述内容には,教育的意義の普遍性や美術教育の本質的課題に関する考察がより深まる傾向が認められた。2021年調査では,エッセイコンテスト参加群において賛同意欲の表明が著しく高く,制作と文章表現を不可分のものと捉える姿勢がうかがえた。ただし,見解がコンテスト参加経験に収斂する傾向は本調査の限界であり,今後は多様なアートライティング教育の可能性を視野に入れた研究とともに,本調査に見られた高等学校教員の意識の高まりを活かす方途が求められる。