2011 年 2 巻 p. 1-13
環境債務は、企業がその活動によって、周辺環境に対して何らかの影響を及ぼしているか、あるいは将来及ぼしそうな損失、費用である。本稿では、日本における環境債務が、環境規制や環境情報開示の遅れによって生じていることを指摘し、さらに、環境債務の中でも代表的な資産除去債務の認識に焦点をあて、その定義や会計基準における概念について論考している。また、環境債務の計上事例として東京電力株式会社をあげ、その環境債務と資産除去債務の課題を指摘し、今後の環境情報開示のなかでの環境債務の重要性について論じている。