人間と環境
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Print ISSN : 2185-8365
AI (人工知能)とポスト資本主義
吉野 敏行
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2016 年 7 巻 p. 57-73

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抄録

A(I 人工知能)の急速な発展が今後の経済社会にどのような影響を及ぼすか、特に資本主義社 会への影響とポスト資本主義社会への展望について考察した。資本主義社会は本来的に資産家 と労働者との所得格差を拡大する仕組み(ピケティのr > g)をもっているが、先進諸国では、す でに利子率と経済成長率がゼロ水準となり、利潤率も2%以下に低下しつつある。さらにAI が 人間の知能を凌駕する「シンギュラリティ」までに、労働力人口の5 割から最大9 割がAI と労 働代替すると予測され、資本主義社会はすでに末期状態にある。ポスト資本主義社会は「20 世 紀の社会主義社会」とは異なる「理想の社会主義社会」である。基本的人権が保障され、ベーシッ クインカムが所得原則となり、AI による最適な計画経済が実現される経済成長率ゼロの「定常 世界」である。AI は資本主義の終焉と真正社会主義社会を実現する物質的・技術的基盤である。

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© 2016 人間環境大学
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