抄録
フェアクラフは、ジャンルは、特定の方法でテクストの全体的構造を決定する。と述べている。『日
本経済新聞』の「春秋」(2014 年、11 月22 日)と「社説」(2014 年、11 月23 日)の分析を通して、
この点について考察した。二つのテクストそれぞれにおけるジャンル、ディスコース群、スタイルの
3 構造を比較した結果、それらの間には類似した構造が認められた。このことから、ジャンルが、テ
クストを構造化していることが示唆される。
「春秋」と「社説」は、Fowler が「社説」の特徴を示すと考えている次の4 点─①感情的な語彙
が使用され、②話者の主張がモダリティに示され、③記述的な命題や諺などの一般的陳述が示され、
④論争的である─において、正反対の特徴をもっていることがわかった。このことからこれら二つ
のテクストは、正反対のジャンルに属していると考えられる。