都市地理学
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研究ノート
二次医療圏からみた地域活力の国土構造
森川 洋
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2019 年 14 巻 p. 68-75

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抄録

都道府県や市町村に代わる地域単位として二次医療圏を用いて,地域活力とその将来の方向性について考察した.その結果,活力のある東京大都市圏を中心に3 大都市圏が東海道メガロポリスとしてほぼ連坦したパターンを呈し,地方では広域中心都市が活力の拠点となるのに対して,国土の縁辺部には―沖縄県を除いて―活力に乏しい地域が広く分布しており,東京を中心とする国土構造が支配的なことが明らかとなった.それに対して,製造業従業者比率の分布についてはやや異なる特徴がみられる.2045 年の予測人口をみると,活力に富む地域は人口減少率の低い地域に当たり,このままでゆくと,福岡市が成長を続けて4大都市圏の形成に近づくとしても,東京への人口集積は継続し,大震災による悲劇の途を進むことになる.一方,国土の縁辺部では高齢化率が一層高まり,地域崩壊への道をたどるところもある.なお,全国の地域分析には二次医療圏とは別の統計区の設定が必要と考えられる.

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© 2019 日本都市地理学会
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