都市有害生物管理
Online ISSN : 2435-015X
Print ISSN : 2186-1498
原著
浮遊粒子ならびに浮遊真菌に対する空気清浄ファン短時間稼動の効果:生活環境のモデルとしての老人ホーム居室における予備的評価
槇村 浩一 小森 綾藤崎 竜一田村 俊佐藤 一朗アレシャフニ ムハンマドマハディ槇村 美保山西 千晶松田 浩幸津田 洋子
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2020 年 10 巻 2 号 p. 67-73

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抄録

ヒトの生活する環境における生物粒子を中心とした空気環境とその制御にかかる研究として,都内老人ホーム居室内における浮遊粒子および浮遊真菌を検討すると共に,市販の HEPA フィルター付き空気清浄ファンの短時間稼動による清浄化効果を評価することを目的とした予備的研究を行った.屋外の浮遊粒子数が室内より多い条件では換気によって室内の浮遊粒子数が 2 倍程度増加するが,換気を止めることによってそれ以前の粒子数に復元することが示された.また市販の HEPA フィルター搭載空気清浄ファン 30 分の稼働によって,室内における微小浮遊粒子数は 80%減少した.一方,真菌や花粉を含む小粒子に対する効果はこの短時間の稼働実験では明らかにできなかった.以上より空気清浄ファンの稼働は,屋外の大気汚染物質,並びに屋内のウイルス粒子に対して有効な室内環境管理法となる可能性が示された.

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2020 都市有害生物管理学会
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