コウモリは,世界で1300種以上,日本では37種が記録されている多様な生物群である.生態系において,種子散布者・花粉媒介者・昆虫などの捕食者として重要な役割を担っている.人間生活に対しても,農業害虫や不快害虫の数のコントロール,果樹の花粉媒介などで貢献している.一部の種は家屋や建物もねぐらとするようになり,時にはその糞尿や外部寄生虫により人間と軋轢が生じることがある.捕まえなければ噛みつくことはなく,ましてや人間を襲うことは決してない.コウモリが棲みつくことによるコンクリート建造物の劣化も認められない.日本では人間への感染症の例もない.穏便に追い出す方法を紹介するとともに,いちばん身近な野生哺乳類として親しみ共存している事例も紹介する.