人形劇は世界各地でみられる大衆娯楽の1つであり、その地域の文化歴史を集約する現象の1つである。これまで、文化人類学や民俗学等の分野では演目や成り立ちについて言及するものは多くあるが、物理的なアバターやエージェントとしての解釈を試みたものは少ない。本研究では人形劇で扱われる人形や役割を持ったオブジェクトに対し、人々がどのような心理的投射を行ってきたかを捉えるため、文化差の比較も行いながら検討することを目的とする。本発表では発表者の住まう岐阜県と文化間交流が長く、歴史的にも縁の深いバルト三国の1つであるリトアニアでの初回調査結果について報告する。リトアニアは国立人形劇場を複数有しており、歴史的にも世界のメディアに影響を与えてきた背景がある。今回は、その概要と人形劇関係者の現在の解釈についてまとめる。